目黒西口クリニック
院長
南雲 久美子先生
近年、冷えの原因として増えているのが、ストレス(過緊張)による冷えです。特に女性は昔に比べ働く人も増え、さまざまな外的環境と接する機会が増えたことにより、ストレスを感じやすい環境になっています。ストレスがきっかけで、常に緊張している状態となり、血流が悪くなり、冷えやすい体質になってしまうのです。
また、ストレス冷えの厄介な特徴として、自覚が無いことがあげられます。冷えは胃腸・代謝・自律神経の機能低下が原因ですが、実は、夏の猛暑により自律神経が乱れることや、夏バテで胃腸が弱ってしまうことなど、夏につくられた冷えがリセットされずに積み重なって、秋冬の“冷え”につながっていきます。ストレス冷えの人は自覚が無いために、気にせずエアコンにあたったり、冷たいものを摂取したりと、自ら冷え体質を助長させてしまうのです。
通常、体質的に冷えやすいタイプの人は冷えによる体調の変化として、月経異常や肌荒れ・くま・血行不良など外見に現れる不調から始まり、体のむくみや下痢・便秘などの水分のアンバランス症状、そして、イライラ・不眠・パニック・うつ病などの自律神経失調による不調と、段階を経ていきますが、ストレス“冷え”の人は、体質的に冷えやすいタイプではないので、いきなり、自律神経失調による不調になってしまう人も多いことが特徴です。
現代人に多いストレス冷えに対処するために、ここでは、適切な対策を行う上で必要なストレス冷えの代表的な特徴を4つ紹介します。
交感神経の緊張から、手のひらや足先など部分的に汗をかきます。
緊張した状態が普通になってしまっているため、体がリラックスした状態になっても、気持ちはリラックスすることができず、かえって冷えの症状が悪化してしまいます。
冷えから派生した不調はいろいろありますが、ストレス冷えの人は、こういった自律神経系の症状が出やすい傾向があります。
冷えの自覚がないため、一年中冷たい飲み物を飲んだり、冷房にあたり過ぎたりと、冷えをためこみやすく、気付かないうちに“冷え”を悪化させてしまう人が多い傾向にあります。
ストレス冷えを悪化させないためには、早めの対策が大切です。
ストレス冷えの場合、外側から温める冷え対策だけでは、症状は改善しません。むしろ汗をかいて、一層冷えを招き、体調を悪化させてしまうこともあります。対策のポイントとなるのは、「内側からのケア」です。
体の内側から温める対策の基本は食事。食物には、体を温めるものと冷やすものがありますくるみやピーナッツなどのナッツ類や、干しブドウやプルーンなどのドライフルーツがオススメです。
他にも、薬味や香辛料なども体を内側から温めますので、日々の食事に取り入れてみると良いでしょう。
トマトやきゅうりなどの夏に旬を迎える野菜や葉もの野菜などは体を冷やす食材ですが、加熱や天日干し、発酵などの処理をすることで、体を温める効果的な食事になります。
葉もの野菜はサラダではなく炒めたり煮たりする、豆腐は湯豆腐にして薬味とともに食べるなど、内側から温めたい人は、ひと工夫してみると良いでしょう。
朝起きたばかりの時は体温が低いため、代謝機能も落ちています。温かいスープやお味噌汁だけでも、冷え対策にとっては大切なエネルギー源となりますので、朝食はしっかり食べましょう。
基本の食事で体の内側から温める対策を行い、“冷え”をこれ以上“悪化させない”、“ためない”ようにし、まずは丈夫な体を内側からつくることが改善への一歩です。