「暑くて眠れない」「寝ても疲れがとれない」「昼間にぼーっとしてしまう」――暑い夏はぐっすり眠ることができず、このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
ぐっすり眠る鍵は、寝る前の体温の“上げ・下げ”にありました。ちょっとした工夫で”質の良い睡眠“をとり、元気に過ごしましょう。
ヒトは1日の中で体温サイクルがあり、起きている時間帯はカラダの中心部分の深部体温が上がり活動的に動いています。就寝時には深部体温を下げて眠る準備をします。
夏の不眠は、暑さや高い湿度による不快感に加えて深部体温の低下がスムーズに行われず、自然な深い眠りに入れないことが大きな原因のひとつです。特に近年は、夜の時間帯でも温度・湿度が高いため、深部体温が下がりにくく、結果として寝つきが悪い、寝ても途中で起きてしまう、といったことが起こりがちです。
また、睡眠の中でも脳を休息させるノンレム睡眠や、特に深い睡眠の徐波睡眠を得るためには、深部体温の低下が不可欠です。眠れているはずなのに、寝起きのすっきり感が足りない…という方は、深部体温が十分に下がっていない可能性があります。
では、深部体温をうまく下げるにはどうすれば良いのでしょうか。
ポイントは、体温の“上げ・下げ”です。まず一度体温を上げることにより、体温が下がりやすい環境を作ることが大切です。例えば、夕食にトウガラシなどを使った料理を食べる、就寝の3時間程前に軽い運動を行う、ぬるめのお湯に入浴をするなどして一度体温を上げることにより、その後体温がスムーズに下がる力を利用して床に就くことで、自然な眠りにつきます。(図1)。
しかし、年齢を重ねるにつれて1日の体温変化はゆるやかになり、就寝時の深部体温は下がりにくくなります。ストレスなどがある場合も同様です。その結果、眠りが浅くなることが分かっています。そこで、体温を上げる方法にプラスして、体温を下げる方法を効果的に取り入れる事が大切です。当社の1世紀にわたるアミノ酸研究から、アミノ酸“グリシン”には就寝時の深部体温を下げる効果があることがわかっています。“グリシン”を摂取することにより、就寝時の深部体温をすみやかに下げて深い睡眠に入ることができます。
私たちは毎日の食事からタンパク質を摂取していますが、そのタンパク質を構成しているアミノ酸のひとつが“グリシン”です。“グリシン”は自然界に多く存在しており、特にエビやホタテなどの魚介類に多く含まれています。また、皮膚のコラーゲンを構成する成分としても知られています。
味の素㈱のアミノ酸研究において、動物にアミノ酸“グリシン”を投与すると深部体温がすみやかに低下することが分かってきました。(図2)
また、ヒトにおいても、就寝前に“グリシン”を3g摂取すると、手足から体内の熱放散を促し、深部体温を低下させることが分かっています。
アミノ酸“グリシン”を3g摂取すると、就寝直後に深い睡眠である徐波睡眠にすみやかに到達していることや、徐波睡眠量も増えていることがわかっています。また、夜中に目を覚ましてしまう中途覚醒や、早朝に起きてしまう早朝覚醒も減り、睡眠リズムが安定して熟眠感が得られることも分かっています。(図3)
就寝前にアミノ酸“グリシン”3gを摂取すると、起床時の疲労感が改善し、気分も良い方に改善されることが研究により確認されています。(図4)(図5)
睡眠に不満を感じていないヒトに睡眠不足の状態をつくり、就寝時に“グリシン”と対照食を摂取してもらうと、“グリシン”を摂取した人は日中の疲労感や眠気が減り、作業効率がアップすることが味の素㈱の研究によりわかっています。(図6)(図7)
夏の夜の快眠法のポイントは、体温の“上げ・下げ!”ということをご理解いただけましたでしょうか?就寝前のアミノ酸“グリシン”の摂取により、睡眠リズムを整えて“質の良い睡眠”をしっかりとり、暑い夏を元気に過ごしましょう!
暑い夏でも質の良い睡眠をとって朝から元気にスタートしたい!そんな願いを持つ方は少なくありません。質の良い睡眠をとるためには1日の体内リズムを整えることが大切ですが、なんと食事の取り方にも体内リズムを整えるための秘訣があるようです。今回は、医学博士・管理栄養士の本多京子先生に食事の摂り方と良い睡眠との関係についてお話を伺いました。
睡眠と食事との関係は、朝食と夕食の摂り方に秘訣があります。
ヒトは体内に1日のリズムを持っていて、特にこのリズムと体温との関係が大きいことは知られています。(朝目覚めて活動することで体の中心部分の深部体温が上がり、就寝時には深部体温が下がり、自然な眠りに就くことができます)
朝はまずしっかりと朝日を浴びて、朝食を摂って体を芯から目覚めさせることが大切です。また夕食は就寝の2-3時間前までに摂り、体の中から体温を上げてくれるもの、消化が良いもの、睡眠に効果的な成分を含んでいる食材を摂ることが大切なポイントです。
理想的な朝食とは、【1】朝起きたらまずしっかりと水分(水や野菜ジュースなど)を補給をする 【2】持続的なエネルギー源になる穀物(ごはん、トーストなど)を食べる 【3】たんぱく質(卵、チーズ、納豆、ハムなど)をしっかり摂る 【4】ビタミン・ミネラル(サラダやフルーツなど)を摂ることです。これら4つのポイントに加えて、良く噛んで食べることで脳が目覚め、集中力も高まります。時間がなくてどうしても朝食を摂れない場合には、水や野菜ジュース、スープ類などの水分を摂るだけでも違ってきます。
1.水分、穀物、たんぱく質、ビタミン・ミネラルを含んだメニュー
2.朝食が摂れない場合は水分だけでも摂取する
3.よく噛んでたべることで、脳が目覚めて集中力アップ!
真夏の夜は外気温と湿度が高いため、“質の良い睡眠の鍵”とも言われる、就寝時の深部体温をスムーズに下げて自然な眠りにつくことが難しくなります。そのため、なかなか寝付けない状況が続くこともあります。
そこで、一度夕食時にスパイス類や辛みなどを活用してカラダの深部体温を上げ、その後、すみやかに深部体温が低下する力(もとに戻る)を利用して眠りにつく方法があります。また、夕食時に良い睡眠への効果があるアミノ酸“グリシン”を多く含んだ食材を活用することで、就寝時の深部体温を効果的に下げてくれることも期待できます。理想としては就寝の3時間前までには食事を終えて、かつ消化の良いものを食べることも大切なポイントです。
1.温かく、辛みがある料理で、夕食時には一度深部温度を上げる。
2.アミノ酸“グリシン”を多く含んでいる食材の働きで就寝時の深部体温を下げる
3.消化が良いもので、就寝時の3時間前までに夕食を済ませる。
今回は、アミノ酸“グリシン”をたっぷり含んだ食材を使い、おいしく、ぐっすり眠れる夏の快眠メニューをご紹介します。しっかりとした睡眠をとり、一日を元気にスタートさせるために、ぜひご活用ください。